個人再生委員とは何か、どんな仕事をするのか

個人再生委員とは何か

個人再生を申し立てた場合、裁判所が、申立を依頼した弁護士とは別の、第三者的な役割を担う者として、個人再生委員という役職の方を、弁護士の中から選任します。
個人再生委員は、どの申立てについても、専任されるわけではありません。
裁判所が事案ごとに検討し、この事案には個人再生委員が必要だと考えれば専任します。
例えば「自営業者の方」「財産が多い方」「支払いがギリギリの方」等のときに、専任されることが多いです。

個人再生委員の仕事

個人再生委員が、どんな仕事をするかですが、申し立てた人の財産と収入の調査を行います(223条2項1号)。
逆に言うと、財産と収入の調査をしたほうがいいと裁判所が考えた場合に、個人再生委員を選びます。
上記の例で言いますと、自営業者の方は、お勤めの方と違い、売り上げに変動が起きやすく、支払っていけるかどうかの判断がより難しいので、その方の収入を調査したほうがいいと裁判所が考え、個人再生委員が選任されることが多いです。
また、支払いがギリギリの方も同様に、支払っていけるかどうか、収入および支出の内容をきっちり調べたほうがいいと裁判所が考え、個人再生委員を選任することが多いです。
また、財産が多い方も、財産の総額が支払額を決定する要因となるので、財産の内容を調査したほうがいいと裁判所が考え、個人再生委員が選任されることが多いです。

個人再生委員は申し立てた方の、収入や財産を調査したうえで、以下のような手続きの節目、節目で、意見書を裁判所に出して、裁判所が、個人再生委員の意見を踏まえて、手続きを始める決定、再生計画案を債権者の書面決議に付す決定、再生計画案にGOサインを出す決定をします。

・個人再生を始める前の段階:手続きを始めてよいか
・再生計画案について、債権者の書面決議を始める前の段階:再生計画案の内容は正当か
・認可決定(再生計画案にGOサインを出して、実際に各債権者に払い始めることの認可)をする前の段階:認可決定をしていいか

個人再生委員の仕事としては、これら以外に、届けられた債権に関して、申し立てた方または別の債権者が異議を言って、その債権者が査定の申立をした際に、裁判所が、その債権の存否、金額を決めるために必要な勧告をする等の仕事があります。