個人再生委員が付いた時と付かない時の違い
個人再生委員が付く場合、付かない場合で、どういった違いが起きるでしょうか。
まずは、個人再生委員は、裁判所が、客観的な第三者的立場に立つものとして、弁護士の中から選びます。この個人再生委員も仕事をするので、タダ働きというわけにもいきません。それで、個人再生委員の報酬がいるわけですが、その報酬は、申し立てた人が自分で払わないといけません。つまり、個人再生委員が付くと、再生手続きに必要な費用が増えてしまいます。おおまかにいうと、個人再生委員の費用は20万円程度です。
一方、個人再生委員が付かない場合、申し立てた後に裁判所が特に問題がないと考えれば、比較的速やかに開始決定を出して、個人再生手続きが始まります。
しかし、個人再生委員は、申し立てた方の財産や収入の調査の役割を担っている(223条2項1号)ため、個人再生委員が付くと、そもそも、個人再生手続きを開始決定していいかどうかについて、個人再生委員が1か月ほどかけて、ご本人に話を聞くなどして、収入、財産等を調査して、意見書を作成して裁判所に提出します。つまり、手続きが始まるタイミングが、個人再生委員が付くと、一か月ほど遅くなってしまいます。
個人再生は、必ず、個人再生において弁済が予定されている金額を毎月積み立てる「試験的積み立て」をご本人がしないといけません。積み立てる口座は、個人再生委員が付かないとご自分が依頼した弁護士の口座になりますが、個人再生委員が付くと、個人再生委員の口座に積み立てることになります。
個人再生委員は、申し立てた方の財産、収入の調査の役割を担っており(223条2項1号)、個人再生手続き開始決定後も、再生計画案の中身、認可決定していいかどうかについて意見書を出す義務を負っています。この意見書は、個人再生手続きを開始決定していいかどうかの意見書と違い、意見書を出すからといって、個人再生の進行が遅れるといったことはありません。また、きちんと節約をした生活を心がけ、きちんと試験的積み立てを行い、法律に則った個人再生の再生計画案を作って出せば、そう簡単に、個人再生委員から、否定的な意見が出てくることはありません。
また、個人再生委員は、上記の意見書を出す前に、ご本人に話を聞いたりすることも当然必要となってきますので、申し立てた方は、個人再生委員との面談が、必要となってきます。