法人の債務整理

弁護士記章

法人の債務整理には、大きく分けると、清算型と事業継続型がある。

清算型には、破産、特別清算がある。

特別清算を行う場合には、債権者の同意が必要なので、通常は、破産を行うが、弁護士に依頼する場合が多い。
ただし、債務超過ではない場合は、全債権者に全額を配当できるので、通常の清算を行う。

破産は地方裁判所に申し立てるが、管轄は主たる営業所の場所になる。通常は、登記している本店所在地であることが多い。本店所在地と主たる営業所の場所が違う場合は、主たる営業所の場所になる。
破産をする法人は、通常はすでに営業をやめており、事務所も閉鎖されている場合がある。従って、かつて事務所があったところで申し立てをしても、申立の直前に事務所を閉鎖しているので、申立の時点では、その事務所は主たる営業所ではないことになる。それで、管轄が違うとして、受け付けてもらえないことがある。

法人の場合、代表者個人の債務整理(破産又は個人再生であることが多い)も同時に行うことが多い。これは、法人が破産する場合、法人の借り入れの保証人に代表者個人がなっており、代表者個人が保証債務を払うことが困難な場合が多いこと、代表者個人が自分で借り入れをして法人に貸し付けをして、運転資金に充てていることが多いことが原因である。個人が破産である場合は、法人の破産は、個人と同じ裁判所に申し立てることができる。従って、個人が福岡県内に住んでいれば、法人の主たる営業所が他県でも、福岡で申し立てることができる。

事業継続型の手続きには、裁判所で行うものとしては、会社更生と民事再生がある。これらは、いずれも、弁護士の報酬のほか、それぞれ更生管財人、監督委員といった裁判所が選任する役職があり、これらのものに対する報酬に当たる予納金が100万円~数百万円かかるので、一程度の規模の法人が行うことが多い。
このほか、裁判所を介しない事業継続型の債務整理の方法としては、事業再生ADR、再生支援協議会への申し立てなどがある。