破産した際、配偶者の資料として何がいるか? 収入に関する資料

結婚している夫婦のうち一人が破産した場合、他方の配偶者に関する資料として何か準備する必要があるでしょうか。ここでは、旦那様が破産した場合を考えます。

まず、福岡地方裁判所では、弁護士がご依頼者から依頼を受けて破産申し立てをする場合、「何を提出しないといけないか」をあらかじめ決めて弁護士に通知をしています。
その通知において、奥様(破産をしない他方配偶者)に関する必要書類としては、以下の書類を提出しないといけないことになっています。

給与明細書(年金の場合、年金の金額がわかる通知書など。給与以外の収入がある場合は、その金額を証明する資料)
所得証明書(役所の住民税課でとれます。役所が発行した公的書面が必要。)
無資産証明書(奥様が、居住する市町村の中に不動産を持っていないという証明書。これは、役所の固定資産税課でとれます。役所が発行した公的書面が必要です。)
奥様(破産をしない他方配偶者)名義の自動車の車検証

破産は、借金が多すぎて返せない(支払い不能と言います。)の状態であると福岡地方裁判所の裁判官が判断しないとできません。返すことができる状態の場合は破産する必要がなく、破産ができないと免責(借金の免除)もできません。払うことができない状態かどうかについては、当然ながら、収入がいくらかが関係してきます。そのため、奥様(破産をしない他方配偶者)の収入を見るために、給与明細書の提出が必要となってきます。

旦那様が借りた借金の場合、奥様に支払い義務はありません。そのため、支払い義務のない奥様の収入がいくらかは、破産に関係がないようにも思えます。しかし、奥様の給与が高い場合、例えば、生活費は奥様の給与で支払えば、旦那様の給与で返済をすることが可能となります。
このように、支払い不能の判断に際して、その世帯全体の収入がいくらかなのかが関係してきます。そのため、奥様(破産をしない他方配偶者)の収入がいくらかであるかは、裁判所が、破産の決定をするかどうか(支払い不能と言えるかどうか)の判断のために必要となるのです。

役所でとる公的書類である所得証明書も、上記と同じ理由で必要です。
給与明細書のほかに所得証明書が必要である理由ですが、まず、給与明細書が1か月分の収入しかわからないのに比べて、所得証明書は、1年間の収入がわかります。また、複数の勤務先で働いている場合は、所得証明書があれば、複数の勤務先をあわせた収入がわかります。

以上は、福岡地方裁判所(本庁)での提出書類であり、福岡地方裁判所の他の支部(小倉支部、久留米支部等)、他の県の裁判所も若干違うかもしれませんが、大きな違いはないと考えます。当事務所も、福岡県内の本庁以外の支部や他県で破産を申し立てることもありますが、奥様(破産をしない他方配偶者)に関する資料としては、おおむね上記の資料を提出します。