2−4.個人再生がやりにくい場合があるケース その4
個人再生することがやりにくい場合もあるものとして、今回は「自動車ローンだけは払って、自動車を維持したいなど、借金の一部を払う必要がある方」を説明したいと思います。
様々な理由で自動車が必要な方がおられると思います。自動車ローンが残っている場合、ローン会社が担保に取っていることが大半で、個人再生により自動車ローンの返済を止めると、ローン会社が自動車を持っていくことが多いです。その場合、自動車ローンだけは個人再生から外して通常通り払って自動車は残したいと思われるのはもっともなのですが、残念ながらできません。
しかし、このような場合、自動車ローン残りを親族などの援助によって一括で払って自動車を維持する方法はあります。申し立てられる方が自分で自動車ローンを払うのは、偏頗弁済(偏った弁済)に当たりできませんが、親族など別の方(ただし、配偶者等生計を同一にしている方の場合、配偶者等が払ったのか、申し立てる方が払ったのか、はっきりしないため生計が別の親族の方がいいです)が第三者として払うことまでは禁止されていません。 また、自動車の保持自体は禁止されているわけではありませんので、ローン支払い中の自動車はローン会社に返して、代わりに安価な自動車を買ったり、誰かに借りたりするケースもあります。そのような方法をとれれば、個人再生は十分可能です。
自動車ローン全てにおいて、ローン会社が自動車を担保に取っているとは限りません。例えば、銀行等のカーローンの場合は、自動車を担保に取っていないことが多いので、個人再生をして、カーローンも減額してもらうこととしても、自動車は持っていかれません。
自動車が実際に担保に入っているかどうかは、車検証やローンの約款を見ないとわかりません。普通自動車の場合は、ローン会社または販売会社が所有者として登録していないと、自動車を持っていけません(軽自動車の場合は、車検証の所有者がローン会社でなくても、ローン約款の内容次第で自動車を持っていかれてしまう場合があります)。
また、事業者の方のうち、自動車がないと事業を続けることができない方は、特別に、別除権協定というものを結んで、自動車ローンだけ払うという方法もあります。